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「大量離職通知」問題 7.6省庁懇談 報告

更新日:1月21日

2023年7月6日実施 文責/安田真幸(連帯労働者組合・杉並)

<はじめに>

 東京集会実行委員の有志による「非正規公務員の雇用安定を考える懇談会(非正規懇談会)」の取組として、「大量離職通知」問題に関して、2023年、2月と3月に厚労省と「懇談」を重ねてきました。

 当初5月に予定されていた厚労省と総務省の各通知(資料1、2)が6月末に発出されました。7月6日、その厚労省通知の内容確認のために、「厚労省との懇談会」を持ちました。その報告です。

【コメント】

 懇談会の要旨は、厚労省との確認を経て約1ヶ月後にようやく確定することができました(資料3)。以下は厚労省とのやりとり内容についての個人的見解です。


1 確定した事項

① 対象となる「離職者」の範囲は「実際に職を失い再就職先が必要な人」として確定された(資料3:P1<経過について>-③、P3<追加質問>-①、②)

・具体的には、定年退職者(再任用が決まった人を除く)+再任用退職者+有期雇用職員(任期付き職員・臨時的任用職員・会計年度任用職員など)で期間満了退職者、となります。

・会計年度任用職員に関しては、公募に再応募し不合格となった人に加え、(様々な理由で)期間満了で退職した人、が対象となります。

② 提出時期は「1ヶ月前」で確定(資料3:P3<追加質問>-③)

・懇談会当日は「次年度雇用が確定した時点」との回答でした。

・しかし、後日の「補足回答」で、「1ヶ月前」と修正されました。

・施行規則で「少なくとも1ヶ月前」とされているので当然のことではありますが、その場合の記入方法については詰め切れていません。


2 不満が残る事項

① 「一般論として、再就職先の確保欄が空欄であることについて制度上問題はない」との補足回答がありました。(資料3:P4<追加質問>-⑥)

・「再就職援助措置」とともに、空欄であることは大きな問題です。

・「制度上問題はない」との回答は、雇用主としての(再就職先確保に努力する)責務をないがしろにしかねません。

・「記載漏れ」として記入を促すことはできるはずだと思いますし、今後の課題です。

② 下記の<おまけ>にある、②通達・通知にのっとった「助言・指導」を求めていきたいものです。


<おまけ:法改定の経過と通達・通知> ① 「大量離職」法改定の経過

・1966年の雇用対策法制定時は、「50人以上」の場合で「事後届け出」だった。

・1973年の法改正に伴い、「事後届け出」が「少なくとも1ヶ月前」とされた。

・1978年の法改正により、「50人以上」が「30人以上」と改められた。

② 注目すべき内部通達・通知など(資料4)

・1992年12月1日「雇用情勢の変化に対応した雇用対策の推進について(労働省職安局長通達)」では、「(事業主に対して)安易な解雇等を行わないよう必要な助言、指導を行うこと」、「特に、高年齢者、障害者、パートタイム労働者、期間工、日系人をはじめとする外国人等、比較的立場の弱い者に雇用調整の影響が集中することのないよう、充分指導されたい」、「やむを得ず離職者が発生する場合には、離職前の段階から十分な職業相談を行い、早期の再就職が図られるよう努めること」とした上で、「大量離職届」の周知徹底を求めている。

・1993年には「雇用対策の一層の推進について」との労働事務次官通知でも、「雇用調整の動きがみられる場合は、安易な雇用調整を行わないよう事業主指導を徹底するとともに・・・」と繰り返している。


 まだ検討を深めなければならない点が多々ありますが、今はこの程度でご容赦ください。

 「離職者の範囲」は大きく後退しましたが、関与を避けてきた総務省が自治体に「大量離職通知書」の提出を促すに至ったことは、大きな成果と思っています。

 詳しくは、以下を参照してください。


北海道労働情報NAVI

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